JF1OLTの小部屋

更新日 2024年8月18日

私鉄鉄職員時代の思い出(携帯型車掌用座席確認端末の開発)




有料列車の乗車時や車掌さんからチケットを拝見という検札があります。
最近は、その検札を受ける場面が少なくなったと思いませんか?
検札業務をシステム化したことによる成果です。
眠っていても起こされなくて嬉しいですね。

企業にとっても人件費削減につながり、メリットが大きい仕組みです。

私が車掌業務の管理を担っていた1998年頃の話です。
当時は1~2ヶ所の乗降ドアに駅係員が立ち特急券の検札(確認)をしていました。
乗降の多い駅ほど停車時間が伸びてしまい慢性的な遅延も発生して問題になっていました。
会社が出した解決策は停車時間短縮と人件費削減の観点から乗車する際の検札廃止です。
有料である以上検札は必須です。
各部門からメンバーが選出され新たな検札方法を検討、出した答えは座席にポケット設け差し込んだ特急券を車掌が確認するというものでした。
実施されれば車掌の負担は増大するとともに、短い区間では乗客全員の車内検札も出来ません。
私が乗車時の検札廃止計画を聞かされたのは結論が出てからです。
車掌出身の自分としてはこんな代案は到底受け入れることなどできません。
現実的な対策ではないと抗議しましたが鼻で笑われました。
どうしよう、職場にこんな改革案を話せないと悩む日々が続きました。

何とかしなければと悩んだ末に思い付いたのが車内検札業務の改革です。

最初の発想は、検札って何のために行っているんだろう。
全員検札するから時間がかかるけど、特急券を持っていない人だけ検札するなら時間も掛からない。
だったら、車掌に特急券を持っていない人がわかるような仕組みを作ればよい。
ロマンスカーが座席指定なのも幸いでした。
ダイヤ改正までのゆとりがないなか携帯電話会社や携帯端末(シャープ製のザウルス)メーカーの協力を得て
1999年のダイヤ改正に何とか間に合いました。

この端末導入が後に携帯電話で特急券が購入できるシステム開発に繋がります。
今では新幹線をはじめとする一部の私鉄優等列車に同様なシステムが導入されています。

車内検札業務の改善に貢献出来、社内で表彰されたこともサラリーマン人生のなかで嬉しい思い出です。

唯一残念なことですが、当時の社内は特許に対する認識が低く特許申請をしなかったことです。


最後までお読みくださりありがとうございました

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